熱中症について②

前回の原因や症状の続きで、今回は山でできる範囲の応急処置と予防について書いてみます。

(1)応急処置について

初期段階であれば、ポイントは大きく2つと言えるでしょう。

①体の冷却を行う

少しでも日陰のある所、できれば風の通る所に移動し、足は高くしておく。
足を高くすることにより、熱を下げようと、体中の毛細血管に送りこまれた血液が脳や心臓などに戻ってくる効果が期待できます。

衣服を緩め、身体の表面を水で濡らし、風を送り込んで気化熱を利用して冷却を行う。
具体的に言えば、タオルなどを水に濡らして身体を拭く、あるいは直接水をかけ、テントマット(うちわがあればベスト)などを利用して風を送り込む
(女性の場合、ツエルトなどを目隠しとして利用するなど、一定の配慮は必要です)

身体の太い血管のある場所を重点的に冷やす。
沢の水や雪渓の雪などがあれば、それを利用してペットボトルに入れ、首や脇の下・股部分などに当てて冷やす。
(沢や雪渓がなくても、通常の水でも体温よりは低いはずなので、やるべきだと思います)

②水分や塩分を含む栄養分の補給

水は少しずつ飲ませる(胃痙攣を考慮すると、冷たい必要はありません)。スポーツドリンクも併用して飲ませる。
今一番良いとされている物に経口補水液があり、市販もされていますが、自分で作ることも可能です(水1Lに塩3g砂糖40g)。

(2)予防について

①適切な水分等の補給
個人差はありますが、ガイドの世界では以下のような計算式があります。

水分の必要量=5×体重×行動時間-20×体重

つまり私が8時間行動した場合、(5×60kg×8時間)-(20×60kg)で、1.2L必要になる計算になります。季節や個人差もありますが、参考にしてみてください。

②水分だけではなく塩分その他栄養素の補充
糖分の含まれる飲料(スポーツドリンク等)の方が、腸からも塩分や水分が吸収されやすいと言われています。

③適切な衣類やコマメな衣類調節などで、できるだけ熱を逃がす工夫をする

④体調管理に努める
これが、恐らく一番大切だと思います。山に行く前日の睡眠不足や体調不良は身体に悪いし、そんな状態で山に行っても楽しくないはずです。
まずは健康な身体です。そして楽しく安全な山を楽しんで下さい。

次回は季節的に皆さんが心配になる雷について書いてみようかなと思っています。お楽しみに(^:^)