熱中症について①

これからの季節に起きる山のトラブルの一つに、熱中症があります。大きく分けて、熱失神・熱疲労・熱射病・熱痙攣に分類されるようですが、最近ではⅠ度~Ⅲ度という分類もあります。
どちらにしても、山の中でできる治療には限度があります。
(Ⅱ度、Ⅲ度もしくは熱射病は、病院に運ぶことを考えるべきでしょう。)
ごく初期の段階でまずは気づくこと、そして早い段階でできる範囲の治療をすることが大切だと思いますが、もっと大切なのは予防でしょう。
ここではまず、予防をするために知らないといけない原因と、初期症状について書きます。

(1)主な原因

①水分や栄養分の不足
人の身体は、運動などで熱くなると汗をかき、水分が蒸発することにより熱を下げます(汗をかいただけでは熱は下がりません)。汗の中には、人が行動する上で必要な塩分を始めとした色々な栄養分があり、汗をかくとそれも一緒に排出されてしまいます。
まず、水分が不足すると血液自体の量が減り、身体の色々な所に栄養分を運ぶ能力が落ちます。さらに発汗により栄養分も減り、身体に色々な障害が出てくることになります。

②汗をかけない状況、もしくは汗が蒸発できない
それほど気温は高くなくても、湿度が高い場合は注意が必要です。先ほど書いたように、汗が蒸発することで熱を下げますが、湿度が高いと汗が蒸発しにくく、結果体温を下げることができません(湿度が高いと衣類が乾かないのと同じ原理です)。

③風を利用できない状況
低体温症で一番怖いのは風です。風速1mで体感温度は1度下がると言われています。しかし夏の場合、逆に考えれば熱を1度下げてくれることになります。
条件にもよりますが、風に当たる稜線より風の弱い樹林帯の中の方が、熱中症にとっては条件が悪い場合があります(直射日光での問題は当然あります)。

(2)症状 (ここでは初期の症状についてのみ書きます)

①めまいや身体のフラつき
②気分が悪い
③手足のシビレ
④足攣り(つり)
⑤頭痛

大切なのは、これらの「身体からのサインを、本人はもちろん同行者が見逃さないこと」です
特に体調が良くない状態で山に来た場合、熱中症とは思わないで、他の原因で具合が悪くなったと考えて対応が遅れることがあります。
たとえば足攣りなどは、筋力不足や他の原因も考えられますが、水分不足や塩分不足の可能性も高いです。ですので、熱中症の初期症状であることも疑って同行者が対応を行うか、あるいは自分自身も注意すれば、それ以上の悪化を防げる場合もあるのではないでしょうか?

※次回は山でできる範囲の応急処置と予防について書きたいと思います。