登山中の足攣りについて

今回は、今の時期に多いトラブルの中の足攣り(あしつり)について書いてみます。
足がつるというのは、筋肉が収縮して痙攣(けいれん)を起こしかなりの痛みを伴う状態のため、岩場の通過中などになった場合は大変危険です。ここでは、私の知る限りの原因と予防、起こしてしまった時の対応について書いてみました。

(1)原因

①運動不足による筋肉疲労
冬の間登山を控えていた方が、春から初夏にかけて再開する場合などは注意が必要です。筋肉が弱くなっている時期に、長めのルートを歩くなど普段使用しない筋肉を多用すると、筋肉に乳酸が溜まり、つりやすくなるようです。
②水分不足やナトリウムなどの栄養不足
多量の汗をかく登山では、水分はもちろんですが、汗と一緒に塩分など多くの栄養素が排出されてしまいます。それらを適正に補充しないと、つる原因になるとされています。
③血行不良
平気な人の方が多いのですが、身体に合わないサポートタイツを履いていたり靴紐をきつく締めすぎたりして血流が悪くなった時に、足がつる方もいるようです。

※また原因は一つの要因だけでなく、複合的な理由でなることが多いのではないでしょうか?

(2)予防(原因①~③について)


冬でも、低山もしくは近所の裏山でもよいので、定期的に山に行かれることをお勧めします。
(登山で鍛えた筋肉は2週間で元に戻ってしまうという説もあります)
技術的には、歩く時に踵から上げる蹴り足だとふくらはぎを多用してしまい、つりやすくなります。
※詳しい歩き方については、始めの一歩の「歩行技術について」を参照してください。

水分補給はもちろんですが、できればスポーツドリンクや塩粒、あるいは梅干などによる塩分補給も効果があります。また技術的な面から考えると、汗をかき過ぎないスピードでの歩行が大切です(実はハアハア荒い息は、口から水分が多く出てしまいます)。
また正しいレイヤードで歩行することで、余分な発汗を防ぐことができます。

必要以上に体を締め付けないように注意することです。たとえば機能性タイツなども自分に合った機能とサイズの物をよく吟味して使用すると良いかと思います。(ちなみに私自身は、夏の沢登りの際は短パンにタイツというスタイルが定番です)
また、靴紐などもあまりきつ過ぎるのは良くないと思いますので、自分に合ったきつさを色々試してください。

(3)対応策

まずは本人にとって楽な姿勢をしてもらい、足を伸ばした状態で、足の指をそり返すようにゆっくりストレッチを行い、アキレス腱や足の裏の筋を伸ばします(写真上段左)。その後、太ももから足首に向かって、優しく筋肉を押すようにマッサージ(写真上段右)をしたり、承山(しょうざん)というふくらはぎのツボ(写真下段左)や足臨泣(あしりんきゅう)という足の表面のツボ(写真下段右)を押すと、効果があるとも言われます。

その他、一部の漢方薬には即効性がある物もありますが、一時的に抑えるものです。原因をきちんと排除してあげないと再発するので、個人的にはあまりお勧めしません。
それよりは、上記にあげたような原因への対応をまず試してみることも大切ではないでしょうか?
でも一番大切なのは、日頃のトレーニングにより、ある程度の筋力を維持することかと思います。